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1年の始めこそ貯蓄計画を立てよう! 家計簿どうする?おすすめのアプリや方法とは?

新年を迎え、「今年こそお金をしっかり貯めよう」と前向きな気持ちになっている人も多いでしょう。確実にお金を貯めるには行き当たりばったりでなく、計画を立てることが大切。今回は、1年間ストレスなく堅実にお金が貯められるように、貯蓄のポイントをご紹介します。

収入の何%を貯蓄に回せばいい?

収入から貯蓄に回す金額を考えるときに、「割合」を意識すると見直しもしやすくなります。「手取り収入の◯%を貯蓄」のように決めれば、収入の増減に対応しやすいからです。

<貯蓄率とは?>

手取り収入から貯蓄に回すお金の割合を、「貯蓄率」といいます。貯蓄率は次のような計算式で求めます。
貯蓄率 = 貯蓄額 ÷ 手取り収入 × 100
たとえば、毎月の手取り月収が30万円で10万円を貯蓄しているなら、貯蓄率は約33%(10万円÷30万円×100)です。

<貯蓄率の目安は?>

では、貯蓄率はどのくらいに設定すればよいのでしょうか。最初に、総務省の統計データを紹介します。以下の表は、勤労者世帯(世帯人数2人以上)の平均貯蓄率の推移をまとめたものです(総務省「2020年家計調査」より)。

2011年(平成23年)18.3%
2012年(平成24年)18.3%
2013年(平成25年)17.4%
2014年(平成26年)18.2%
2015年(平成27年)19.8%
2016年(平成28年)21.3%
2017年(平成29年)22.3%
2018年(平成30年)26.6%
2019年(令和元年)31.4%
2020年(令和2年)35.2%

総務省家計調査2020年家計収支偏勤労者世帯(非消費支出~エンゲル係数)の表より、貯蓄純増(平均貯蓄率)(%)を参照

2018年くらいまで20%前後だったのが、急に増えて2020年には約35%になりました。コロナ禍によって多くの人が守りの意識を持つようになったことが、原因の一つと推測されます。ただ、子育て世代に貯蓄率30%は難しいのではないでしょうか。子どもが中学生くらいまでは20%以上を目指し、子どもの教育費がかさむ高校生以降は10%程度が無理のない貯蓄率と考えられます。

目的別にお金を分類しよう!

貯蓄に回す金額が決まったら、目的別にお金を4つに分類します。4つのお金の種類は、次のとおりです。

  1. 日常生活費
  2. 数年以内に使い道が決まっているお金
  3. 10年以上先に必要になるお金
  4. いざというときのための生活防衛費

このうち、日常生活費は毎月の収入からやりくりします。

<数年以内に使い道が決まっているお金>

マイカーの購入費用やマイホームの頭金などは、いつまでにいくら貯めるか目標が立てやすい支出です。目標から逆算して、毎月準備する金額を決めましょう。準備の方法は、預貯金や勤務先の財形貯蓄などが適しています。

<10年以上先に必要になるお金>

子どもが小さいうちの教育資金や老後資金は、10年以上の長期で準備します。子育て世代は両方を並行して準備する必要がありますが、教育資金の優先度が高くなります。長期で準備する資金を貯めるには、長期分散投資の手法などで投資を取り入れると効率的です。

<いざというときのための生活防衛費>

病気やけがで急にお金が必要になった場合や、家の修繕などのために予備のお金を用意しておきましょう。目安は生活費の6カ月分といわれています。すぐに使えるように、預貯金での準備が適しています。

子育て世代が賢くお金を貯めるコツ

教育資金を準備しながら住宅ローンも支払うなど、子育て世代がお金を貯めるのは大変です。ここでは、着実にお金を貯めるためのコツをご紹介します。

<家計簿をつける>

家計を管理して計画的に貯蓄をするには、家計簿をつけましょう。家計簿は、家計管理や計画的な貯蓄に役立たなければ意味がありません。アプリなどを活用して少ない労力で効果が出るように心がけましょう。まずは支出の状況を確認し、何にいくら使っているかを把握することから始めます。思うようにお金が貯められない場合、原因が何なのかを突き止められます。

<先取り貯蓄を実践する>

給料をもらったら先に決めた金額を貯蓄に回し、残ったお金で生活するやり方を「先取り貯蓄」といいます。生活費を使った残りを貯蓄しようとしても、お金が残らない人も多いでしょう。先取り貯蓄は意志が弱い人でもお金が貯められる、貯蓄の王道です。勤務先の財形貯蓄や自動定期預金など、自動的にお金が貯まる仕組みを利用しましょう。

<児童手当は教育費の積み立てに活用する>

毎月受け取る児童手当は生活費などに充てるのではなく、教育費の積み立てに活用しましょう。児童手当分を貯めておくだけで、中学卒業までに約200万円(所得制限世帯なら90万円)以上の教育費が貯まります。なお、2022年10月支給分から、両親のどちらかの年収が1,200万円以上の世帯には児童手当の支給が廃止されます。

<固定費から支出の見直しをする>

目標とする貯蓄額に回すお金が足りない場合、家計を見直す必要があります。支出を見直すときに優先するのは、変動費よりも固定費です。変動費とは食費や被服費、固定費には保険料や家賃などが該当します。固定費の見直しは効果がすぐに出て、努力しなくても続きます。変動費の節約も必要ですが、まずは固定費の見直しがおすすめ。固定費の見直しでは、次のようなものを見直しましょう。

  1. 生命保険料・損害保険料の見直し
  2. 携帯電話を格安SIMに変更
  3. 利用していない月額課金サービス(サブスクリプション)を解約

おすすめの家計簿アプリ

家計簿をつけるには、手間や時間がかかります。少しでも楽に家計の管理をするには、家計簿アプリの利用が効果的。すでに多くのユーザーがいる、おすすめの家計簿アプリをご紹介します。

<マネーフォワードME>

マネーフォワードは、対応している金融機関が多い、機能満載の家計簿アプリ。銀行・クレジットカード・電子マネー・証券会社などの金融関連サービスと連携でき、自動で家計簿を作成してくれます。日頃、現金をあまり使わずキャッシュレス中心の人なら、ほとんど手入力の必要なし。また、銀行だけでなく証券会社やFX会社と連携できるため、家計管理だけでなく資産管理も可能です。ただし、無料版で使える機能には限界があり、高度な機能を使いこなしたい人は有料のプレミアム会員になる必要があります。また、レシート撮影機能の精度があまりよくないといわれています。

<Moneytree>

Moneytreeは、お金の動きの一元管理をコンセプトにした家計簿アプリ。銀行口座・クレジットカード・電子マネーだけでなく、ポイントサービスとの連携も可能です。マネーフォード同様に連携できる金融サービスが多いのですが、シンプルな操作性で初めての人でもストレスなく使えます。無料版でも広告が表示されず、画面が見やすい点も好評です。

<Zaim>

Zaimは高機能でありながら使いやすく、長く家計管理できる家計簿アプリとして人気。マネーフォワードに比べると、無料で使える機能が多い点も特徴です。レシート読み取りの精度にも定評があり、現金で買い物をする人にも使いやすいアプリ。予算管理機能があり、登録した予算に対して支出の状況がすぐに確認できます。家計に合った支出の割合がわからない人には、「バランス診断」という機能で最適な支出の割合を提案してもらえます。

家計簿アプリを安全に利用するには?

家計簿アプリは手書きに比べて便利な反面、個人情報流出のリスクがあります。メジャーな家計簿アプリのセキュリティには一定の信頼性がありますが、ユーザーのパスワード管理などもとても大切です。とくに気をつけたいのが、パスワードの使い回し。一つのパスワードが破られると他も破られてしまいます。また、Googleなどのアカウントと連携して家計簿アプリにログインする場合、弱いパスワードではハッキングのおそれも。連携するならパスワードを強化しましょう。

また、アプリに抵抗がある方、使いこなす自信がない方は、もちろん従来の家計簿でもよいので自分に合ったやりやすい方法を見つけてみてくださいね。

サポートツールを上手に使って今年こそ無理なく貯蓄しよう!

新年の貯蓄計画を予定通りに実行するには、無理のない計画作りと定期的なチェックが必要です。無謀な計画で挫折するより、達成可能な金額で成功体験を積み重ねるほうが長続きします。そのためのサポートツールとして家計簿は有効。この機会に自分に合った家計簿アプリを使い始めてはいかがでしょうか。

執筆:日本FP協会認定CFP/松田聡子

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