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キャッシュレス決済、“お得心理”をくすぐる言葉に注意

決済方法の自分ルール化で「窓口を増やしすぎない」ことがポイント

経済産業省による普及促進もあり、「キャッシュレス決済」が可能な店舗やサービスが増えました。現金を持ち歩く必要がなくスマホがあればその場でチャージも可能なサービスもあり、とても便利なのですが、一方で「支出管理がしにくく無駄遣いをしてしまいそう。」と心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。どのようにすればより上手に活用できるのでしょうか。

メインのキャッシュレス決済、それが使えなかった場合の支払い方法などのルール化を

『「マイナポイント」とは?今すぐマイナンバーカードを』でもご紹介しましたが、2020年9月1日に「マイナポイント事業」がスタートしました(2021年3月末まで)。
この「マイナポイント事業」と、2020年6月末に終了した「キャッシュレス・ポイント還元事業」という経済産業省による“一大ポイント事業”の効果もあって、キャッシュレス決済サービスを積極的に使う人が増えています。
ところでキャッシュレス決済といっても多様な種類や手段があり、何を選び使えば良いのかわからず、気づいたらあれもこれもと、使うようになってしまい、どれだけ使ったかのか、残金がどこにいくらあるのか把握や管理が難しい点もあります。
クレジットカードだけでもショッピングモールや航空会社ごと、あるいはよく使うネットショップごとに発行している場合もある中、「特典がもらえるから」とスマホの決済サービスを追加したり、「電車に乗るときに使うから…」と交通系ICカードでも支払ったりすることで、支出の管理が煩雑になり、「お得」とはいいがたい状態になってしまうケースも出てきています。
ファイナンシャルプランナーの杉本さんは、「まず、メインのキャッシュレス決済に何を使うのか。そのキャッシュレス決済が使えなかった場合、どういった支払方法を取るのか、ご自身の中でルール作りをするといいと思います」と提案します。

キャッシュレス決済は「前払い」「即時払い」「後払い」の3種類

肉食恐竜のティラノサウルスが草食恐竜のアンキロサウルスの赤ちゃんを見つけて、「おまえうまそうだな」とよだれをたらり。ところが赤ちゃんはティラノサウルスを、自分に「ウマソウ」という名前をつけてくれたお父さんだと思い込んでしまいます。「ぼくもお父さんのようになりたい」と慕われて、ティラノサウルスはウマソウを守り、生きるすべを教えるようになるのですが…。

ティラノサウルスを心から信頼しているウマソウと、ウマソウを食べるつもりだったのに、いつの間にか信頼に応えて、守り育ててしまうティラノサウルスの不思議な関係を描いた絵本。信頼する側(ウマソウ)が、信頼される側(ティラノサウルス)に大きな影響を与えています。鳥のヒナは最初に目にした相手を親と思い込んで、後をついて行くといいますが、子どもはみんな信頼という大きな力をもって生まれてくるのかもしれません。

ともだちや 作:内田 麟太郎: 絵:降矢 なな (偕成社)

「キャッシュレス決済」は支払いのタイミング毎に大きく分けて、前払い(「電子マネー」やプリペイドカード、QRコード決済など)即時払い(デビットカード)、後払い(クレジットカード)があります。
クレジットカード決済はおそらくもっともなじみが深く、カードで手続きをすると指定の銀行口座から引き落とされるというもの。
電子マネーは交通系ICカード(Suicaなど)、特定のコンビニやスーパーで使えるICカード(nanaco、WAONなど)、クレジットカードに付帯するQUICPayなどです。イメージとしては現金をチャージして使う、プリペイド式のカードという人もまだ多いかもしれませんが、今はスマホのウォレット機能でも使えるようになっています。なんといっても交通系ICカードはそのまま電車やバスで使えるのでとても便利で使い勝手の良さに定評があります。
そして「キャッシュレス・ポイント還元事業」で一躍注目を集めるようになったのが、「PayPay」「d払い」「auPAY」「楽天ペイ」「LINE PAY」「メルペイ」などのQR/バーコード決済サービスで、いわゆるスマホ決済の一種です。現在各社がさまざまなキャンペーンを打ち出していることもあり、特定のコンビニと提携したサービス、カフェと提携したサービスなど幅広いため、つい増やしてしまいがちなのではないでしょうか。
でもそれこそが、支出管理をしにくくし、銀行口座で言われている「休眠口座」を作ってしまうきっかけになってしまう可能性があります。
※休眠口座:一般的に金融機関に預金として預け入れたまま、長期間その口座へ預金者側から入出金などの取引が行われなくなり、金融機関側から預金者への連絡も取れなくなった状態の預金口座のこと

「お得だからと言って結節点をたくさん作らないことが重要です」と杉本さん。「例えばクレジットカードもそうなのですが、作ると特典が付いてきて、数千円単位のポイント付与やキャッシュバックがあったりします。
でもお得だからと言って、年に1回も使うか使わないかわからないクレジットカードを増やしてしまうと、せっかく付与されたポイントを使い切れずに期限切れになってしまったり、2年目以降手数料がかかるような条件になっているカードもあったりします。またアクシデントが起こり財布を紛失してしまった場合はカードの使用を停止するために、どこへ電話をかければ良いのか思い出せず慌てる可能性もあるでしょう。自分の持っているカードを把握しきれていないと、詐欺にあった場合に気づかず過ごしてしまったという事も考えられます。
このため、杉本さんは「クレジットカードなら所有枚数を多くて3枚~4枚にとどめておきましょう。もし新しくカードを作りたいと思ったら、今あるカードの契約を解除してからにするなど管理できる範囲に留めることをお勧めします」とアドバイスします。

“お得心理”をくすぐる言葉に注意

では、QR/バーコード決済ではどうでしょうか。QR/バーコード決済のメリットは、先述した以外に、個人間で送金ができたり、高いポイント還元率だったり、キャンペーンが頻繁に行われたりする事等が挙げられます。また、クレジットカードと違い「年会費」がかかることもありません。
さらにセキュリティ面でも、スマホにロックがかかっていれば当然のこと、かかっていなくてもアプリを立ち上げるためには指紋認証や顔認証、パスコード入力が必要なので悪用されにくいでしょう。
一方デメリットはスマホがないと利用できないことや、スマホの充電が切れている状態では利用不可能です。加えて、スマホを自宅に忘れてしまったり、紛失してしまったりした場合も使用できません。
そして一番のポイントは、「無駄遣いをしないように管理すること」と思いますが、これについては、クレジットカード同様に、「どのサービスを使うか決めておく」ことが重要です。それぞれにお得なポイントが付くとわかっていても、「本当に自分の利用頻度が高いのは、どこで使うスマホ決済サービスか」、あるいは「どのキャリアを使っているか」を考えると、選びやすくなります。決めたスマホ決済サービス以外の支払いは、例えば現金で払う、クレジットカードで払う、交通系ICカードで払うなど、ルールを決めておけばより管理しやすくなります。
「キャッシュレス決済については、心理をくすぐる言葉に注意してください」と杉本さん。
「いくら還元されるから、○○のグッズがもらえるからという言葉に惑わされず、どの決済方法でどう払うかマイルールを作っておく。お得比べをせず、持ちすぎないことを意識して活用するといいでしょう。またポイントは一つのものに寄せるということを意識するのも手です。あちらこちらでポイントが付くより、ポイント還元率が下がっても一つにまとまっていたほうが、後々のメリットが大きいと思います」
まずはあれもこれもと手を出さないことを意識するだけでも、使い方が変わってくるのではないでしょうか。

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